あの時からずっと、君は俺の好きな人。

そんな私を、2年2組のクラスメイト達が見ていた。

間もなく本番であるため、選手ではないクラスメイトも応援するためにプールサイドに集まっていたのだ。

その中から、微かにこんな声が聞こえてきた。


「え、坂下さんの代わりに吉崎さん泳ぐことになったの?」

「へー、でも塩素アレルギーでプールの授業休んでなかったっけ」

「アレルギーなんて授業サボるための嘘だったんじゃなーい? 坂下さんが怪我したから、さすがにまずいと思って出たって感じ?」


ぶりぶり加藤さんとその仲間たちの声だった。

まあ、塩素アレルギーは彼女達の言う通り嘘だし、サボるための口実もあながち間違いではない。

少し気になったけれど、私は聞こえないふりをした。

傍らにいた水野くんにも聞こえていたようで、彼はしかめ面をする。


「せっかく吉崎さんが出てくれるのにあんなこと言うなんて……。ちょっと俺言ってくるわ」


そう言うと、水野くんは険しい顔をしたままプールから出ようとした。私はそれを止めようと口を開きかけた。ーーその時だった。
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