あの時からずっと、君は俺の好きな人。
一足先にプールサイドに上がっていた三上さんが、加藤さん達に詰め寄った。ーーそして。
「ーーあんたたち」
「え?」
「事情も知らないのに勝手なこと言ってんじゃないよ」
声に凄みをきかせて、加藤さん達を睨みつけながら言う。予想外の三上さんの行動に、私は戸惑う。
三上さんだって、最初は私のアレルギーを疑っていたし、そもそも私に個人的な恨みがあるんじゃなかったのか。
それなのに、なんで助けてくれたんだろう。
「ご、ごめん」
加藤さん達は三上さんの気迫に気圧されたようで、情けない表情を浮かべた。
加藤さんはそれ以上何も言わずに彼女らから目を逸らすと、私の近くまで歩み寄ってきた。
「吉崎さん、今日はよろしく」
そして私とは目を合わさず、つぶやくようにそれだけ言うと、すたすたと歩いて行ってしまった。