あの時からずっと、君は俺の好きな人。
ーー三上さん。私が泳ぐことなんて絶対嫌なはずなのに。とりあえずメンバーとして認めてくれているということなのだろうか。


「あーあ。俺がガツンと言ってやりたかったのにさー。三上さんにいいとこ取られちゃった」


水野くんが冗談交じりに言う。


「えー、水野くんが言ったら余計こじれるから、三上さんが言ってくれてよかったよ」

「こじれる? なんで?」

「水野くんみたいなかっこいい人に味方してもらったら、女子の嫉妬が怖いんですよ。鈍いねえ、もう」


私は呆れたように笑って言うと、水野くんは何故か顔を赤らめた。


「ーーまた。かっこいいとか……そういうのはっきり、言わないでよ。ずるいから」

「ずるい……?」


何がずるいのだろう。かっこいいなんて褒め言葉じゃないか。理解出来ずに私は首を傾げる。

すると水野くんは咳払いを1回してこう続けた。


「ーーいや、意味わかんないならいいけどさ」

「うん?」

「それよりさ、もっと早く泳ぐ方法がないか、もう一度ルールを確認してみるといいかもね」
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