あの時からずっと、君は俺の好きな人。



とうとうリレーが始まってしまった。

第一泳者の美結、第二泳者の内藤くん、第三泳者の三上さんは、練習通りの力を発揮し、2年生の8クラス中1位で、第四泳者の新田くんへと繋いだ。

新田くんなら、このまま1位で私のところに来てくれるだろう。むしろ、もっと差を広げてくれるかもしれない。

しかし恐らく今の私の泳ぎでは抜かされてしまう。

今の時点で他のクラスとそこまで大きな差はなかったし、1人25メートルしか泳がないリレーでは、新田くんがいくら頑張ってもそんなに差は開かない。

そんな風に自信なさげな私だったが、スタート台に立った瞬間妙に落ち着いた気分になった。

ーー懐かしい気持ちだ。ここに立つ時はいつもわくわくしていた。

さあ、泳いでやるぞ。勝ってやるぞ。あの頃の私は、少しでも速く泳ぐことを生きがいにし、それが楽しくて仕方がなかった。

そう。そして気持ちが高揚したままプールに飛び込み、昂った想いを維持したまま最後まで泳ぎきるのだ。

両手でS字に水をかいて、しなやかなドルフィンキックをしてーー。
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