あの時からずっと、君は俺の好きな人。
プールに入ったままその場で荒くなった呼吸を整える。

さすがに6年ぶりの全力のバタフライは、息切れを催した。すぐにプールサイドまで這い上がる元気はなかった。

ーー私、ちゃんと泳げていたのかな? ちゃんと1位で水野くんに繋げられたのだろうかーー。

そんなことを考えていると、反対サイドから歓声が聞こえた。どうやら1位のクラスがゴールしたらしい。

ようやく息切れが直ってきた私は、やっとのことでプールサイドに上がった。

ーーすると。


『1位は2年2組です! 圧倒的な強さでした!』


放送担当の係の声が響く。ーー1位は2年2組……? うちのクラス……?

私たち、勝ったってこと……?

泳いだ疲れと1位になれたことに信じられなくて、私はプールサイドで立ちすくむ。ーーすると。


「吉崎さん! すっげえ!」


反対サイドから水野くんが走ってきた。


「すげえよ! バタフライ! めっちゃかっこよかった! 俺より早かったんじゃない!?」

「いや……さすがにそんなことは……」
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