あの時からずっと、君は俺の好きな人。
まだ2年生の中で1位なったということが信じられず、私は変に冷静に答える。

すると、ほかの選手達やクラスメイトまで私の元へと走ってきて、私はもみくちゃにされる。


「吉崎さんすっごーい!」

「バタフライの泳ぎ半端なかった!」

「こんな秘密兵器がうちのクラスにいたなんて!」

「すごくかっこよかった!」

「圧倒的な泳ぎだったよー!」

「いや……はは。ありがとう」


坂下さんや新田くん、内藤くん加え、普段話さないような人達にまで褒めちぎられ、私は引き気味に笑う。

少し離れたところでは美結がその光景を見ていて、私と目が合うと不敵に笑ってウィンクした。

ーー藍ならやってくれると思ってたよ。

美結のそんな想いが伝わってきた。

すると、ぶりぶり加藤さんが私の近くにそっとやってきて、おどおどしながら私を見た。

「よ、吉崎さん」

「え?」

「さっきは、変な事言ってごめん。ほんとにごめん……」

心底申し訳なさそうに言う。別にそんなこと大して気にしてなかったし、しかもアレルギーは本当に嘘だったので、私は景気よく笑う。
< 139 / 229 >

この作品をシェア

pagetop