あの時からずっと、君は俺の好きな人。
水野くんの本番直前の言葉が妙に気になった。

今思えば、まるで私に別の泳法で泳げとでも言っているかのような、君はその方が早いだろうと言っているかのような、そんな気さえしてきて。

水野くんは、私がバタフライが得意だったことを知っていたーー?

一瞬そう思ったけれど、まさか、そんなわけないとすぐにそういう結論に至った。

2年生になって同じクラスになるまで、顔も名前も知らなかった間柄なのだから。




そして3年生のリレーが終わったあとの発表では、私たち2年2組は全校で2位、準優勝という結果だった。

ちなみに優勝したクラスは、例の罠をしかけたと思われる陰湿な3年生女子がいるクラスーーではなかった。

陰険女子がいるクラスは、私たちに僅差で敗れ、3位で終わっていた。

ーーすかっとしたと正直思ったのは内緒。まあみんな思っているかもしれないが。

優勝は逃してしまったけれど、みんなで力を合わせて獲得した準優勝は、この上なく嬉しいものだった。
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