あの時からずっと、君は俺の好きな人。

「じゃあ私新しいバケツ持ってくるよ」


立ち上がり、私がそう言うと「お願いねー」と美結の声が聞こえてきた。

そしてお店へ行ってなっちゃんにバケツをもらうと、外の水道で水を汲み始める。

みんなが花火を楽しむ様子が少し遠目に見えた。はしゃぐ声ははっきりと聞こえる。ーーすると。


「吉崎さん」


水が適度に溜まり終わる頃にいきなり話しかけられ、私はビクッと身を震わせる。

水道を止めてから振り返ると、そこにいたのはーー。


「ーー三上さん」


三上さんが私の背後に立っていた。無表情に見えたので、その感情はまったく伺えない。

ーー何の用だろう。

以前よりも三上さんの私に対する態度は軟化しているように思えたが、必要最低限の意思疎通しかしたことがない。

それも周りに他の人間がいるから、三上さんの方が仕方なくといった感じだ。
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