あの時からずっと、君は俺の好きな人。
2人で話すのは、「私吉崎さんに個人的な恨みがあるから」と、三上さんに言われた時以来だ。
「私さ、吉崎さんのこと結構前から詳しく知ってたんだ」
私が何も言わずにいると、三上さんがそんなことを言ってきた。
「え……私のことを詳しくって……どういうこと?」
「例の事故のあと、吉崎さん結構メディアで取り上げられてたじゃない? だって……」
「たった1人の生き残り、奇跡の少女って?」
私は少し自嘲気味に言った。
「ーーうん。それ。私はあの事故に関するニュースや、ネットや新聞の記事なんかかを、くまなく見てたんだ」
「どうして……?」
「私の親友も事故の被害者だったから」
三上さんはそう言うと、水道の前で屈む私の隣に腰を下ろした。その顔には、切なげな微笑みが宿っていた。
私は何も言えない。男子達が花火にはしゃぐ声と、寄せては返す波の音が場を支配する。