あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「そのうち私は生き残った吉崎さんに興味を持つようになった。同い年だったしね。そんな子があんな事故にあって、両親をいきなり失って、どうやって生きてるんだろうって。同情とかじゃないよ。単純な興味だった」

「ーーうん」

「それでね。私の親友の代わりに生き残った子なんだから。きっと健気に、前向きに生きてるんだろうってそのうち思い込むようになってしまった。メディアもそういう風に煽るしね。そういう風な美談が世間は好きでしょ?」

「……そうだね」


毎年慰霊登山に行くたびに、私はメディアの餌食になる。あの奇跡の少女っも中学生になりました、高校生になりましたって。

さすがに最近は普段の生活までは奴らは侵食してこないけれど、正直言って目立つのはお断りだった。

ーー私はみんなの望んでいるような生き方はしていなかったし。


「だから高校2年生になって吉崎さんと同じクラスになって、私はがっかりしちゃったんだ。常に何事にも関心がなさそうで、淡々としてて。
それが『私は別に生き残りたくて生き残ったんじゃありません 』って言ってるようにも見えて。ーー私の親友の代わりに生き残ったくせに、なんなのその態度って思えて」
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