あの時からずっと、君は俺の好きな人。



慰霊登山の日、目が覚めると、頬が涙で濡れていた。直前まで夢を見ていた気がするけれど、内容は覚えていない。

ーーまたか、と思った。

たまにこういうことがあった。なんとなく、事故に関する夢なんだろうということはわかっていた。

それも、私の記憶が無い事故直後から、病院のベッドで気がつくまでの。

枕元のスマホを見ると、アラームをセットしていた時間のちょうど5分前だった。

私はアラームのセットを解除し、身を起こそうとする。

ーーしかし。

その瞬間、頭がぐらついて目眩がした。そういえば寒気がするし、喉も痛い。

私はスマホをタップして、震える手でなっちゃんに「風邪ひいたかも」とメッセージを送る。

するとドタドタと足音を響かせながら、すぐになっちゃんが体温計を片手に部屋へ入ってきた。

なっちゃんは大層心配そうな様子で私にこう尋ねた。


「風邪!?大丈夫!?」

「うーん……寒気と頭痛がある。気持ち悪くは無いよ」

「とりあえず熱測ろ!」
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