あの時からずっと、君は俺の好きな人。
彼に心を奪われている私からすると、とんでもなく大きな幸せを感じられる言葉だった。
「いろいろありがとね」
私は恋心を隠すように、なるべく軽い口調で言った。
水野くんのことは好きだけど、まだ付き合うとか恋人同士になるとか、そこまでのことは考えられなかった。
「いえいえ……あっ、それにしてもさ。購買のカレーパンもまあまあだけど、やっぱり吉崎さん家のカレーパンは絶品だわ〜。そんじょそこらのカレーパンじゃ太刀打ちできないレベルだよね」
「でしょ! なっちゃんのパンはどれもおいしいんだよ!」
大好きななっちゃんが作るパンが褒められて、私まで嬉しくなってしまった。
「また買いに行きてえなー。あ、今日学校のあと行こうかな?」
「ほんと!?」
水野くんがまた来てくれる。私の家に。
カレーパン目当てだとは分かっているけれど、学校以外でも彼に会えることに、嬉しさがこみあげてくる。