あの時からずっと、君は俺の好きな人。
しかし、新幹線に乗ることすらできない私に彼を付き合わせる訳には行かない。彼の修学旅行を台無しにしてしまう。

私はしばしの間その場で立ち尽くしていたが、眼前に新幹線があることに耐えられなくなり、ふらりとホームから去り、トイレへと繋がる通路へと足を運んだ。

そして壁に背をつけてその場でかがむ。それと同時に発車ベルが鳴った。新幹線が発車したのだろう。

ポケットに突っ込んでいたスマホが震えた。今頃私がいないことに気づいたみんなが、連絡してくれているのだろう。

行きたかった。みんなで大阪に。新田くんと内藤くんと坂下さんと三上さんと美結とーー水野くんと。

だけどこんな状態で行くことなんて、到底できない。今の私が新幹線に乗り込んでしまったらどうなってしまうかわからない。

ーー壊れてしまうかもしれない。

私は震えるスマホを放置してただただその場にしゃがみこんだ。
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