あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「えー、そう……なの?」


私自身はまったく自覚がなくて、きょとんとしてしまう。

水野くんは誰にでも優しくするタイプに思えたから、私が一方的に恋をしているんだと思っていた。


「そうだよ! だからあと一押しだよ!」

「修学旅行中にカップル誕生目指して!」

「え……う、うん」


みんなの勢いにちょっとついていけず、私はなんとなく返事をしてしまう。

水野くんが私を好きかもしれない。もちろんそれが本当だったら、嬉しいことこの上ない。ーーだけど。

そんなことよりも、水野くんに関する不思議なことについてで頭がいっぱいで。


「ーーねえ、みんな」

「ん? どうしたの、藍」

「水野くんって1年生の時何組だったか知ってる人、いる?」

「え、何組だろ? 私は同じクラスじゃなかったけど」

「私も知らないな」

「私もー」

「…………」


私たちの学年は8クラスある。そして私、美結、三上さん、坂下さんは1年生のときは全員違うクラスだった。

そして全員が水野くんと同じクラスではなかつた。その上、何組だったかも知らない。
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