あの時からずっと、君は俺の好きな人。
別にありえないことではないだろう。1学年250人以上いるのだ。知らない人間がいても、何らおかしいことではない。

しかし、それがかっこよくて、クラスの中心に居るような人物だと話が違ってくる。

たとえクラスが違っていても、目立つ人間というのは知らず知らずのうちに認知されるもの。

新田くんとは1年生の頃違うクラスだったけれど、目立っていたから他人に関心のない私ですら知っていた。

ーーそれなのに、なぜ新田くんと同じくらい目立ちそうな水野くんの1年生の頃のことをみんな知らないのだろう。

仮に2年生から入ってきた転入生だったしたら、4月の始業式の日に先生から紹介があるはず。

しかしそんなことはなかったから、水野くんは1年生の時からこの学校にいなければおかしいのだ。


「じゃあ出身中学は? どこか知ってる?」

「んー……そういえば知らないな」


美結が答えると、三上さんと坂下さんも頷いていた。


「じゃあ家はどこにあるんだろう? 知ってる人、いる?」


私がそう尋ねると、何故か3人は顔を見合わせた。ーーそして。
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