あの時からずっと、君は俺の好きな人。
そのことに気づいた瞬間、私は青ざめる。
このままじゃ私の足が無くなっちゃう。
無くなったら、歩くことも、パパとママと散歩することもーーバタフライを泳ぐことも出来なくなってしまう。
ーーすけて。たすけて。誰か……。
「た……すけてえ!」
私は思わず叫んだ。しかし周囲からは風に泳ぐ木々のざわめきと、野鳥が時折さえずる声しか聞こえてこない。
誰もいないの……? パパ………ママ……。
すると、ガタン!と激しい音がした後、急に下半身に開放感がおそってきた。
え……?
状況をが掴めず、私は身を起こそうとする。ーーすると。
「大丈夫?」
そんな私の手を、誰かが握って引っ張り、起こすのを手伝ってくれた。突然のことに驚きながらも、私はその誰かの顔を見る。
男の子だった。同い年くらいの。整っているが、人懐っこそうな、無邪気な顔立ち。
ーーあれ。あなたは。私は……あなたを……。
知っている。