あの時からずっと、君は俺の好きな人。
私は6年前の彼の存在を全く覚えていない。そんな風に、彼が私を見つめていたことも、全然知らなかった。
「帰り道でもたまたま君と一緒になった。新大阪の駅で君を見かけた時、君が何かを落としたのを見た。ーー君が今持っているミサンガを」
私は手に持っていたお守り袋の中から、ミサンガを取り出す。よく見ると、ミサンガは薄汚れていて……紐の端に血痕のような跡もあった。
「返そうと話しかけようと思ったんだけど、やっぱりできなかった。でも、新幹線でも俺はたまたま君の後ろの座席で。よし、新幹線に乗っている間に話しかけて返そう。ーーそして友達になってください、って勇気を出して言おう。だけどやっぱりなかなかできない。そうやっているうちに……」
「ーーあの事故が起こったんだね」
私がそう言うと、水野くんはゆっくりと頷いた。
「俺は君と同じようにたまたま車外に放り投げられて、事故直後は生きていた。それで新幹線の車両の破片に下敷きになっている君をなんとか救出した。ーーだけど俺は手首にひどい怪我を負っていた。俺と君は崖から落ちた新幹線から離れた場所にいたから、救助が来るのも遅かった。……俺は間に合わなかった」
「帰り道でもたまたま君と一緒になった。新大阪の駅で君を見かけた時、君が何かを落としたのを見た。ーー君が今持っているミサンガを」
私は手に持っていたお守り袋の中から、ミサンガを取り出す。よく見ると、ミサンガは薄汚れていて……紐の端に血痕のような跡もあった。
「返そうと話しかけようと思ったんだけど、やっぱりできなかった。でも、新幹線でも俺はたまたま君の後ろの座席で。よし、新幹線に乗っている間に話しかけて返そう。ーーそして友達になってください、って勇気を出して言おう。だけどやっぱりなかなかできない。そうやっているうちに……」
「ーーあの事故が起こったんだね」
私がそう言うと、水野くんはゆっくりと頷いた。
「俺は君と同じようにたまたま車外に放り投げられて、事故直後は生きていた。それで新幹線の車両の破片に下敷きになっている君をなんとか救出した。ーーだけど俺は手首にひどい怪我を負っていた。俺と君は崖から落ちた新幹線から離れた場所にいたから、救助が来るのも遅かった。……俺は間に合わなかった」