あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「ーーうん」
「俺の魂はずっとあの事故現場にあった。毎年、あの日に慰霊登山に来る君を俺はずっと見ていた。君はいつも淡々としていた。両親の弔いに来ているんだから、元気がないのは当たり前だろうとは思ったけど……事故前の君の姿とは全く違っていて、俺は心配だった。君の目にはずっと光がなかったから」
「…………」
「ミサンガは切れたら願いが叶うって話なのにさ。なんだよ、俺の願い全然叶ってねーじゃん、って毎年君の姿を見て俺は思っていた」
私は持っているミサンガをじっと眺める。ーー彼はそんな願いをこれにかけてくれていたのか。
「そして今年の慰霊の日。君の姿は事故現場になかった。俺は慌てたね。どうしたんだろう、ここに来れないような何かがあったのかって。ーー元気なあの子の姿をがもう一度見たい。あの子を元気にしてくれ。俺は再びミサンガにそう願った。切れたミサンガは、俺の遺品だと思われたらしくて俺の墓標に埋められていたからね。ーーそしたら、奇跡が起こったんだ」
水野くんは屋内プールの天窓を見上げた。私も釣られて見る。今夜は晴天のようで、星が瞬いているのが見えた。
「俺の魂はずっとあの事故現場にあった。毎年、あの日に慰霊登山に来る君を俺はずっと見ていた。君はいつも淡々としていた。両親の弔いに来ているんだから、元気がないのは当たり前だろうとは思ったけど……事故前の君の姿とは全く違っていて、俺は心配だった。君の目にはずっと光がなかったから」
「…………」
「ミサンガは切れたら願いが叶うって話なのにさ。なんだよ、俺の願い全然叶ってねーじゃん、って毎年君の姿を見て俺は思っていた」
私は持っているミサンガをじっと眺める。ーー彼はそんな願いをこれにかけてくれていたのか。
「そして今年の慰霊の日。君の姿は事故現場になかった。俺は慌てたね。どうしたんだろう、ここに来れないような何かがあったのかって。ーー元気なあの子の姿をがもう一度見たい。あの子を元気にしてくれ。俺は再びミサンガにそう願った。切れたミサンガは、俺の遺品だと思われたらしくて俺の墓標に埋められていたからね。ーーそしたら、奇跡が起こったんだ」
水野くんは屋内プールの天窓を見上げた。私も釣られて見る。今夜は晴天のようで、星が瞬いているのが見えた。