あの時からずっと、君は俺の好きな人。

｢水野くんは……もう、消えてしまうの？｣


恐る恐る涙声で尋ねる。すると天井を仰いでいた彼は、私の方を向いて、寂しげに微笑んだ。

｢俺さあ、6年前、死ぬ直前にミサンガにもう1つお願いしちゃったんだ。君に元気になって欲しいってことが第一だったんだけど、もう1つはね｣

｢ーーうん｣

｢もし、奇跡が起きて俺が生き残れたら。生きて、この子ともう一度会うことができたら。仲良くなれますように。ーー両想いになれますように……って｣


私は耐えられなくなり、涙を零し始める。

だって彼のその願いは叶ってしまっている。

彼はそれに気づきつつあるのだろう。すべての願いがかないつつあることを。たぶん、新幹線で私と手を握りあったときに。

ーー彼は願いを叶えるためにここにいる。もし願いがすべて叶ってしまったら……。


｢小学5年生の君に、小学5年生の俺は恋をした。そして高校2年生の君にも、高校2年生の俺はすぐに恋に堕ちた。ーー子供の俺の目は正しかった。どうやっても、俺は君に恋をするようになっていたんだと思う｣