あの時からずっと、君は俺の好きな人。
私は泣きながら途切れ途切れに言う。しかし水野くんは首を振った。


「俺は本当はここにいちゃいけないんだ。ミサンガの神様の気まぐれで、少しの間生き返って、ここにいるだけ。ーーどうせいつかは消えてしまう運命なんだよ。いつかじゃない、たぶんもうすぐ。もう身体もこんなに透明になってしまっている」

「そん……な……」

「だから最後に聞かせて。ーー君の気持ちを」


涙で滲んだ目に映った水野くんは、いつものように優しく無邪気に微笑んでいた。ーー瞳には切なそうな光が浮かんでいたけれど。

水野くんはいなくなってしまう。パパとママもあの事故で失ったのに。水野くんもあの事故のせいで死んでしまった。

こんな想いをするなら、出会わなければよかったーーいや。

そんなことは絶対にない。水野くんは教えてくれた。

愛してくれた両親がいたから、今の私がここにあるということ。過ごした大切な思い出は、決してなくならないということ。

ーーそう。水野くんが私に与えてくれたものは決してなくならない。そして彼はずっと生き続ける。私の心の中で。
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