あの時からずっと、君は俺の好きな人。

すると美結は笑いながら、ちょっといやらしい顔をした。


｢あ、それで男子の係に決まったのがねー。なかなか楽しく一緒に出来そうな人だよ｣

｢え？ 誰？｣

｢水野くん！｣


みずの……くん？


｢ーーごめん、誰だっけ｣


名前に心当たりがなくて、私は首を傾げる。すると美結は驚いたように目を見開いた。


｢はぁ！？ なんでクラスメイトのこと覚えてないの！？ もう2年2組が始まって2ヶ月だよ！？ しかも水野くんだよ！？｣

｢……はぁ｣


味気ない毎日を過ごしてる私は、必要以上に人間の顔を覚えようとしなかった。1年生の時のクラスメイトだって、結局全員は覚えていない。

なんだかんだ言って女子は話す機会が多いから自然と覚えられるんだけど、男子とは関わりが少ないから記憶にインプットされなかった。