あの時からずっと、君は俺の好きな人。
2年生に進級してまだ2ヶ月足らず。目立つ男子の数人が、やっと名前と顔が一致するという段階だ。


「ほら! あそこ! 窓際で新田くんと話してるのが水野くん!」


要領を得ない私に痺れを切らしたように美結が言った。私が窓の方へ目を向けると、新田くんと話している男子の姿が見えた。

新田浩輝(にったこうき)くんは1年生の時からサッカー部のレギュラーだし、背も高くて顔も整っていて、女子から人気がある男子だ。

まさに正統派のイケメンといった感じである。

直接係わっていなくても目立つ人だから、私もすぐに覚えられた。

しかしその新田くんと話している水野くんとやらは私のメモリーには記憶されていなかった。

身長は新田くんと同じように高く、170cm後半はあるだろうか。切れ長の瞳に通った鼻筋は、美形と呼んでも差し支えがない。

少し明るく染めたチョコレート色の髪が、よく似合っていた。

正統派イケメンの新田くんとは違い、そのくしゃっと人懐っこそうに笑う表情からは、無邪気で元気そうな少年といった印象を受ける。
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