あの時からずっと、君は俺の好きな人。
別に加藤さんが勝手にぶりぶりしてるのは私は構わない。

しかしこの手のタイプにはよくある話で、彼女は女子の前だと態度が一変するので、一部の女子からはひんしゅくを買われているらしい。


「そうなの? まあ苦手ならいいや」


水野くんは加藤さんに色目を使われていることを気づいていないらしく、いたって平然とした様子で言った。

いや、気づいていてスルーしているのかもしれないが。


「ごめんねぇ、水野くん。……あーあ。選手じゃなくて係ならやったんだけどなあ」


ちらりと私を見た加藤さんの目付きが、やたら鋭い。ーー水野くんに新田くんに内藤くん。水泳大会の選手達は、なかなかのイケメン揃い。

確かに加藤さんのような人種は、この人間関係に入りたくてたまらないだろう。

ーーっていうか、加藤さんの目的がどうであれ。代わってもらえるなら代わって欲しい。私は構わないから代わってくれ。今すぐ。

だが。


「だめだめ、もう係は決まってんだからさ」


すると私が何か言う前に、水野くんが何故か有無を言わさぬような口調で言った。
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