あの時からずっと、君は俺の好きな人。
容姿に自信がある加藤さんは「え? 俺も加藤さんとやりたい」などと言われることを期待してたのだろう。

水野くんの言葉を受けて、仏頂面になって黙った。

ーーええ。私は代わって欲しかったのになあ。なんで水野くんそこまで加藤さんを拒否するんだ。

しかしこの流れになってまだしつこく係交代を要求する雰囲気でもなかったので、私は諦めた。


「じゃあ……決まんないから、あと2人はタイム早い人ね」

「えーと……」


水野くんの言葉を受けて、私は女子のタイム一覧の紙を眺める。

水泳部員を除いた、上位2人はっと……。


「えーと、三上さんと坂下さん……ですね」


バレー部の三上さんと吹奏楽部の坂下さん。坂下さんは予想はしていたようで、諦めたように笑って「はい」と言った。

ただ、三上さんは何も言わずに真顔でじっと私を見ていた。その顔が少し怒っているようにも見えて、私は気圧される。
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