あの時からずっと、君は俺の好きな人。
しかし、三上さんから文句は聞かれなかったので、私は気のせいと思うことにする。

三上さんとはあまり話したことはないけれど、クラス内での彼女の様子を見ると、明るくさっぱりとした性格の姉御肌で、友達も多いタイプに見える。

長身でショートカットの三上さんはボーイッシュだが、整った顔立ちで、男子にもとても人気があるらしい。

よく運動部の男子と談笑している姿も目にする。

水泳大会の選手に選ばれたことを嫌がるような人には思えなかった。


「ーーでは選手になった方はよろしくお願いします」

「明日から練習始まるから、選ばれたメンツはよろしくねー。じゃあ解散でーす」


私の事務的な言葉とは対照的に、水野くんが親しげに言う。

そしてクラスのみんなもやっと終わった、とでもいうような表情をして各々帰り支度を始めた。

私もなんだかんだ言って、係としての最初の大きな仕事が無事に終わって、安堵していた。

ーーだが。
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