あの時からずっと、君は俺の好きな人。
さて。そうしたら次はもう1人のタイムで選出された選手になった三上さんに声をかけなければ。

さっき指名した時に不機嫌そうな表情に見えたのが少し気になったけれど……。

教室を見渡すと、三上さんは仲の良い運動部女子の面々と楽しそうに話していた。私は彼女らに歩み寄る。


「あ、三上さん。ちょっといい?」


そして声をかけると、三上さんは会話を止めて私の方を見た。ーー表情が一瞬でこわばったように見えた。

さっきのは気のせいじゃなかったのかと、私は気安く声をかけてしまったことを少し後悔する。


「……水泳大会の事だよね?」


低い声で三上さんが言う。私が頷くと、今しがたまで話していた友人達に「じゃあまたあとでね」と言うと、私の方へ1人近寄ってきた。


「あの、立候補者いなかったからタイムで選んじゃって申し訳ないんだけど。よろしくね」
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