あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「ーー別にそんな気にしなくていいんじゃない」


相変わらず眠そうな表情だが内藤くんが美結を励ますようなことを言った。

ーーへえ。ぼーっとしてるのが目立つ人だけど、結構優しいんだ。


「そうだよ。そこまで遅いってわけじゃないし、立候補してくれただけでありがたいよ」


すると坂下さんが内藤くんに同調して、優しそうに言う。

ーーいつも眼鏡だけと、外すと結構美人だよなあ、坂下さん。水着から伸びた手足も白く細くてスタイルも抜群だ。

まあ、そこは置いといて。

2人の言葉はもっともだ。この水泳大会は、あまり本気で勝ちにくるように猛練習を積むクラスは少ない。

3年生な最後だから、わりと全力で挑むクラスが多いようだが。

1年生、2年生は当日クラスが盛り上がれるくらい、ほどほどに頑張ればいいという雰囲気なのだ。

ーーと、内藤くんと坂下さんからは、そんなニュアンスが感じられた。しかし。


「うーん。どうしたらもっと早くなれっかな。どんな練習したらいいんだろ?」
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