あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「確かに……言われてみればそうだね」

「ーー蒼太のくせにいいこというな」


感心したような表情になる坂下さんと内藤くん。しかし内藤くんの言葉に水野くんは苦笑を浮かべた。


「蒼太のくせにってなんだよおい」

「だって普段はわりとぼーっとしてるし」

「お前が言うなよ」


内藤くんと水野くんのやり取りに、美結が手を叩いて大笑いする。


「あははは! でも、うん。その通りだね。私もできるだけ頑張ってタイム縮めるよ! 坂下さん、フォーム見てくれない?」


美結の依頼に坂下さんは頷くと、プールサイドにいた2人は再びプールの中へと入り、練習を始めた。

しかし、水野くんってなんでも楽しめる人なんだな。最初の素直で無邪気な印象通りだ。

なんて、いまだに「今日も古文の時間に音楽聴いてただろ?」「どうせ授業聞いても寝るんだから、起きてるだけマシじゃん」とかいう会話を繰り広げている水野くんと内藤くんを眺めながら、わたしが考えていると。


「蒼太っていつもああなんだよなー」


不意に新田くんが私に話しかけてきた。
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