あの時からずっと、君は俺の好きな人。
私を助けるのに、それなりの勇気を必要としたはずだ。

でも私に気を遣わせないように、敢えて大したことではないという体にしてくれているのが分かる。

ーー優しいんだなあ、水野くん。


「ーー本当に、ありがとうね」

「だからいーってば、もう」

「……うん。もう大丈夫だとは思う。あの人、たまたま私が目に入っただけで、そこまでこだわってはいない思うから」


私は彼に今後余計な心配をかけまいと、思っていることを言った。

美結みたいな派手な美人や、三上さんみたいにスタイルが良くて目立つ人に固執するなら分かるけれど。

私みたいにメイクも髪も無難で、顔だって10人前の女の子に執着する人なんて、きっと居ないだろう。


「ーーえ。吉崎さん知らないの?」


すると水野くんが、少し身を乗り出して言った。


「何が……?」

「吉崎さん、結構男子から人気あるよ」

「はっ……?」
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