あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「わ……! ご、ごめん! 俺、泣かせる気はなくって! ごめんね!」


すると水野くんが慌てふためいて、立ち上がって私の傍らにやってきた。


「わ、わたしこそ……ごめ……」


涙が止まらなくて上手く言葉が出てこない。ーーいや、涙だけじゃない。

“ 苦しそうに見えた”という水野くんの言葉を聞いた途端、私の中で感情が暴れ出した。

私は苦しいのだろうか?

あの日以来、自分の生きている意味が見いだせなくて、何を頑張っても誰を好きになっても無意味としか思えなくて。

いつ死んでもいいとすら思うようになって。

苦しいの? 私?


「み、水野くん……ごめん、今日は……もう……帰って……」


このまま彼にそばに居られては落ち着かなそうだ。私は涙声でたどたどしく言う。


「うん。本当に、ごめん。また明日ね」

「……うん」
< 72 / 229 >

この作品をシェア

pagetop