あの時からずっと、君は俺の好きな人。
ーー私が、あなたと同じ境遇だから。

だから彼は、私の空っぽな内面に気づいたのかもしれない。

同じ目に遭った私を気にかけて見ているうちに、私の上辺だけの感情を見破ったのかもしれない。

それしか考えられなかった。

ーーだけど、それならどうして。

私と同じように家族を失っているのに、彼は心から笑えて、心から何かを頑張ることが出来ているのだろう。

怖がりの私にはそんなことができる気がしないよーー水野くん。
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