セカンド・プライオリティ
大切だからこそ、言えない SIDE美己

「…っ」

目を覚ますと額に違和感を感じて、手を当てる。そこには効果を使い果たしたらしい冷えピタが貼られていて、それは自分が昨日倒れたことを私に思い出させた。

身体の寒気とだるさはもうない。
昨日の全身が一気に震え出した感覚はやはり普通ではなかったのだと、今になってようやく理解する。

「何時だろ…」

手探りで見つけたスマホの画面に表示された時間は、午前5時。
締め切られたカーテンの向こう側もまだ暗いのだと、容易に想像が出来る時間帯だ。

「あ、メッセージ溜まってる…」

頭が冴えてきたところで受信を知らせる数字がいつもよりも多めにメッセージアプリの右端に付いていることに気が付いて、そのままアプリのボタンを押した。

「涼くん?」
久しぶりの彼からのメッセージに少しだけ緊張しながら、画面を開く。

<調子はどう?昨日美己が眠っているときに森さんに会って、倒れたことを聞きました。そんな時なんだけど、颯が明日から少しの間店に出られなくなってしまって。1週間はまともに家に帰れないかもしれない。しんどいときに、傍にいられなくてごめん。>

それは何年ぶりに見たかというほどの長文のメッセージで、思わず声に出して読んでしまった。
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