アーティスティックな男の子。
『んじゃま、明日から放課後369号室集合ね。』
「…ハァ…分かりました。…絶対に初版本持ってきてくださいね??」
深い溜息をつきながらガンを飛ばす柊。
怖い怖い(笑)。
『分かってる〜♪私は約束は破らないからね。』
「その点だけは信じていますので。」
『その点だけなの。』
冷静なツッコミを入れました。
「…そう言えば、最近肌の調子が良さそうですね。」
すっ…と柊の手が私の頬に触れた。
『そうなの〜。後輩君に迫られて泣く泣く。でもまあ、優秀なのは確かだね。毎日のようにしつこい電話とメールの嵐。』
「…そうですか。確かに腕は良い様ですね。」
『ちなみに、さっきハル君に作曲手伝ってって言ったら見事にフラれた。二人目だよ、フラれたのは。』
「ちなみにそのもう一人とは?」
『雪音先輩。』
「ああ。保科先輩ですか。」
保科 雪音 ホシナ ユキネ。
1個上の三年生で、美術学科グラフィックデザイナーコース。
彼もまた天才的なアーティスト。
『…また最近よく寝てる姿を見かける。』
「…そうですか。」
いつでもどこでも寝られる精神、尊敬します、先輩。
〜♪
『ん?…あ、秋からだ。』
「…あの車、秋さんのではないですか?」
『んー…あ、ホントだ。メールでもさっさと帰るぞって。あ、乗ってく?』
「いえ、私は。自分で帰ります。」
『そ?じゃあ門の前まで一緒に行こ。』
「そうですね。」
『あ、明日のことなんだけど。』
「なんですか?」
『とりあえず明日は、好きな曲を好きなだけ歌って欲しい。』
「はぁ。」
『で、明後日は学校休むから。』
「…早速休むんですか。」
『うん。あ、柊も休む?』
「そんな簡単に休みません。」
『だよねぇ。…もしかしたら2日ぐらい帰ってこないかもしれない。』
「…貴女…何しに行くんですか。」
『ちょっと、ね。』
「オーイ、ゆーきー。」
『はーい!じゃ、また明日ね!柊!』
「ええ、また。」