アーティスティックな男の子。







『んじゃま、明日から放課後369号室集合ね。』


「…ハァ…分かりました。…絶対に初版本持ってきてくださいね??」


深い溜息をつきながらガンを飛ばす柊。


怖い怖い(笑)。


『分かってる〜♪私は約束は破らないからね。』


「その点だけは信じていますので。」


『その点だけなの。』


冷静なツッコミを入れました。


「…そう言えば、最近肌の調子が良さそうですね。」


すっ…と柊の手が私の頬に触れた。


『そうなの〜。後輩君に迫られて泣く泣く。でもまあ、優秀なのは確かだね。毎日のようにしつこい電話とメールの嵐。』


「…そうですか。確かに腕は良い様ですね。」


『ちなみに、さっきハル君に作曲手伝ってって言ったら見事にフラれた。二人目だよ、フラれたのは。』


「ちなみにそのもう一人とは?」


『雪音先輩。』


「ああ。保科先輩ですか。」


保科 雪音 ホシナ ユキネ。


1個上の三年生で、美術学科グラフィックデザイナーコース。


彼もまた天才的なアーティスト。


『…また最近よく寝てる姿を見かける。』


「…そうですか。」


いつでもどこでも寝られる精神、尊敬します、先輩。


〜♪


『ん?…あ、秋からだ。』


「…あの車、秋さんのではないですか?」


『んー…あ、ホントだ。メールでもさっさと帰るぞって。あ、乗ってく?』


「いえ、私は。自分で帰ります。」


『そ?じゃあ門の前まで一緒に行こ。』


「そうですね。」







『あ、明日のことなんだけど。』


「なんですか?」


『とりあえず明日は、好きな曲を好きなだけ歌って欲しい。』


「はぁ。」


『で、明後日は学校休むから。』


「…早速休むんですか。」


『うん。あ、柊も休む?』


「そんな簡単に休みません。」


『だよねぇ。…もしかしたら2日ぐらい帰ってこないかもしれない。』


「…貴女…何しに行くんですか。」


『ちょっと、ね。』


「オーイ、ゆーきー。」


『はーい!じゃ、また明日ね!柊!』


「ええ、また。」







< 16 / 82 >

この作品をシェア

pagetop