アーティスティックな男の子。
…さて。
『秋、明後日一緒に遠出しようね♪』
「は?」
『大丈夫、理事長先生に許可取った。』
「は???????何、いつの間に知り合ったの、お前ら。」
『ふふふふ。』
「ホンット、コミュ力高ぇなお前。」
『褒められた!っつーことで、明後日遠出と言うことで♪』
「…何で許可すんのかな…。」
コンコンッ
「はい。」
ガチャ
『おはよー、柊。』
「おはようございます。もう放課後ですが。」
『今日も立派に逃げ回った、頑張った。』
「………。」
『じゃ、早速お願いできる?』
「ええ。とりあえず今期の試験の課題曲と、自由曲を一曲。」
『おk。』
…うん、やっぱ上手いなぁ。
柊は柔らかくてビブラートがよく効く。
表現力も高い。
さすが学園トップクラスのヴォーカリスト。
『…おk。じゃ、柊はもう帰っていーよ。明日はよろしくー。』
「…一つ、お願いがあるのですが。」
『ん?』
「作曲する様子を見てみたいのですが。」
『あー、まあいいよ。』
「ありがとうございます。」
『見てるだけね。口出し無用。空気のようにいて。』
「分かりました。」
『………。』
「……。」
『…ここはこうで……こっから調を変えて…Bメロはもっと暗め…いや、綺麗めか?Aメロがこの調だから…平行調を用いるかそれとも…Ⅴ度調にするか…いや、やっぱり……。』
「…ゆきさん。もう最終下校過ぎますよ。」
『ここはもっとこんな感じで…。』
「ゆきさん。」
『…や、これは…ちょーっと違うなぁ…。もっと綺麗めの曲がいいんだよなぁ…。』
「ゆき。」
『ブォッフ!!!!!!!!(ガタッ)…イテ。』
凄い勢いで椅子から飛び跳ねた私。
「…大丈夫ですか?」
『…大丈夫…うん、大丈夫。てか普通に呼んで?耳元で囁かれたらそりゃびっくりするよ?飛び跳ねちゃうよ??』
「普通に呼んでも気が付かない貴女が悪いですよ。」
『えええ…って、今何時?』
「最終下校時間の…5分前ですね。」
『マッハで準備してダッシュで出よう!!大丈夫!今日は思う存分廊下走ろうね!怒る人いないし!』
「……ハァ…そうですね。」
『うおおおお急げぇぇぇ!!!』
50m9秒台の私を舐めないで頂きたい!!(普通以下)
『…ハッ…あれ?あの姿は…』