アーティスティックな男の子。
「ゆきの場合は専科“だけ”だろーが。俺が怒られんだよ。」
『マジめんご兄貴☆これからもヅラ教頭に怒られてね☆』
「ヅラは認める。」
「俺1回、トイレでヅラの位置を戻してた所を目撃した。」
「結城、お前マジか。」
「…秋さんとゆきさんは明日どこに行かれるんですか?」
「俺も知らねぇ。どこに行くんだ?」
『紫陽花のある公園?お寺?』
「…ここら辺に咲いてるよな?」
『ここも良いんだけどなんかぱっとしないんだよね。』
「それを言ったら、熊谷先生が泣きますよ。」
あ、そーいえばクマさんが育ててるんだっけ。
まあいいや、事実だし。
『だから、とりあえず千葉県に行こうと思って。』
「千葉?割と近ぇな。」
『そ。ついでに南房総まで行って良いもの食べに行こう!!』
「お!いいなそれ!!よし、そうと決まれば明日は6時起きだ。」
『えっ…早くね?』
「早くねぇよ。」
「ゆき、お土産よろしく。」
『あ、それは全然いいよ。』
「…日頃迷惑かけられてる方々にも贈ったらどうですか?」
『ううん…そう…だね……。』
ちょーっとぐさりときましたよ、ええ。
お、柊の家が見えてきた。
「それでは、また。」
『バイバイ、柊。』
「じゃあな。」
『…ねえ、ハル君、秋。』
「何。」
「何だ。」
『…柊って金持ちだよね。』
「…だな。」
超超高級マンションの最上階に住んでるらしいよ。
「…そうか?普通だろ。」
『普通じゃないよ!?…ってそっか、ハル君もお金持ちだもんね。あのデカい日本家屋に住んでるもんね…。』
「羨ましいわぁホント。」
コイツらうぜぇという顔をしている、ハル君。
隠さず惜しまず表情に出すそういう所尊敬します、ええ。
「…アンタらなら俺以上の屋敷買えるだろ。」
私と秋は顔を見合わせる。
『…まあ…ねぇ…?』
「…相当稼いだからな…。」
ていうか、今住んでる所もそれなりの高層マンションだけどね。
「何で使わねぇの?」
『…使ってるよ?課金。』
「アンタはな。…秋さんは?」
「俺?俺は……なんだろ。車?」
『確かに。車4台持ってるもんね。』
「それ使ってんのかよ本当に。金があるのに使わないとか、経済の為にならねぇと思う。」
『…坊ちゃん。』
そうお父さんに習ったんだね…偉い偉い。
「からかうな。」
確かにお金は回せば回すほど経済は良くなると思うけどね。
「…ま、焦らなくてもいつか一気にドンっと使うとは思うぜ。」
『例えば?』
「…旅行?」
『明日するじゃん、1泊2日。』
「もっと長期の旅行。…あとはー…お前が嫁に行った時の資金?」
『えっ私結婚しないよ?ずっと秋と一緒にいるもん。』
「ブラコンかよ。」
『シスコンに言われたかない。』
「んだとコラ。」
『やんのかオラ。』
「どっちもどっちだと思うんだけど。無謀な争いはヤメろ。」
『「はい、さーせん。」』
歳下に怒られる歳上達の図であった。