アーティスティックな男の子。
ガチャ
「ゆき、おは……お前顔どした。」
『おお、秋が紫陽花に見える…。』
「ついに幻覚が。」
『…たくさんの着メロとメールの数…オイ誰だよ情報流した奴……。』
「あ、すまん、多分俺だわ。保健室に来た生徒全員に言ったわ。楽しみすぎて。」
『お前かよっ!!なんっでだよ!!…まあ、結局6時間寝れたし。良しとする。』
最後の“楽しみすぎて”というところに過大評価。
「そーいや最近8時間以上寝てるよな。偉い偉い。」
ポンポンッ
『…ハル君が…怖いっ。』
「…アイツ美容に関しては凄い口煩いからな。まあしゃーない。…ほら、さっさと行くぞ、ゆき。」
『…っよーし!行くぞーー!!』
ガチャ、バタンッ
『そーいや外出とか久しぶりじゃない?』
「そうか?あ、まあそうか。秋休みに行ったくらいか。」
『そそ。冬休みは私が風邪引いて行けなくて、春休みは秋が風邪引いて行けなかったんだもんね。』
「まあ風邪はしゃーない。」
『しゃーないしゃーない。』
「…ま、久しぶりのデートっつーことで、楽しもうぜ。」
『わーい!デートだ!!!!!!』
兄妹でもデートはするのですよ!皆様!!
『わっはぁぁぁい海だぁぁぁぁっっ冷た!!!!!!』
思ったより冷たかった。
「あたりめーだろ。まだ6月だぞ。」
『もう6月だよ???そろそろどころかもう夏だぞ???』
「…この気温で夏だと言えるか?」
『言えませんとも言えませんが、とても過ごしやすい気温です。』
やべー、本来の目的を忘れそうなくらい楽しい。
カシャカシャ
『…っはー!綺麗!』
「オシャレしてきて良かったな。」
『うむ。オシャレしてきて良かった。ワンピ楽だし可愛いし良き。』
「写真撮るぞ。」
『うぇい。』
カシャカシャ
『なんか秋ってカメラマンさんみたいだね。』
「ん?そうか?」
『適度にオシャレで一眼レフ持って写真撮って……うん、ぽい。』
「じゃ、カメラマンさんぽく、指示して行きたいと思いまーす。とりあえず適当に歩いてくださーい。」
『適当に歩きまーす。』
カシャカシャ
『…っは、本来の目的もう忘れそうになってた!!』
「じゃ、もう行くか。」
『そね。…あ、あれ食べたい。かき氷。』
「今行こうって話してたよな??」
『食べよう!かき氷!!』
「…ハイハイ。」