アーティスティックな男の子。







『わぁ…っ!紫陽花、凄い綺麗!』


来ました、目的地。


「こんだけ揃うと圧巻だわ。さすが名所。写メろ。」


カシャカシャ


『あ、甘味処発見!食べよう!!』


「ハイハイ。」


ガラガラガラ


「…すいませーん。」


「はーい!いらっしゃーい!」


『わぁ…ど、どうしよう!とりあえず餡蜜かなやっぱり!!そ、それとこのくずきりもいいなあ!あ、三色団子にみたらし団子!胡麻団子もー!』


「そんなに食えんのかよ。」


『食える。』


ドヤァ


「ドヤ顔で言うな。払うのはこっちなんだよ。」


『わーい!!』


さり気なく奢るよって言われた!やったね!


「うふふ、彼氏さんはどうなさいますか?」


…顔を見合わせる私達。


「…あー…彼氏さんは彼女さんのを半分貰いますから大丈夫です。」


『ぶっは(笑)』


「彼女さんがこれ以上太らない為にも…。」


『オイ。』


「今準備致しますので、あちらに座ってお待ちください。」


『…さて、秋君よ。』


「何だ、ゆき。」


『今年も間違われるカレカノ事件。』


「だな。…もはやそれに慣れてる俺達。」


『それな。』


「ま、似てないのはしゃーない。」


『しゃーない。しゃーないんだけどさ…。』


「何だ?」


『…そんなに恋人同士に見えんのかね、私ら。』


昔からの疑問。


「…まあ、外からは見えんじゃねーの?普通の兄妹なら腕組むとかハグするとか頻繁にデートとか車の送り迎えとかしねーもん。」


『普通…普通の定義とは一体。』


「世間サマから取り残されてる俺達には関係ねーよ。」


『…一般社会で生きてける気がしない。』


顔を覆う私たちであった。


「…俺はともかくとして、お前は無理だろーな。協調性の欠片もねーし。ルールは無視だし。」


『自覚はしてるよ?してるけどそんなんメンドくない?』


「ゆきの基準は基本面倒臭いか面倒臭くないか。」


『イェッス。』


さすが兄貴、分かってるぅ。


「ほい、これ食うか。」


『食う!!』


「あーん。」


スプーンにのせられた餡蜜。


パクッ


『んんんん美味…。』


「美味そうに食うよな、ホント。」


ハタ…。


ふと、気付く。


『「…これ…か…!!!」』


『何気に間接キス。』


「…確かに恋人っぽい…つか彼女にしたこと1回もねーわ、そーいや。」




< 22 / 82 >

この作品をシェア

pagetop