アーティスティックな男の子。
『わぁ…っ!紫陽花、凄い綺麗!』
来ました、目的地。
「こんだけ揃うと圧巻だわ。さすが名所。写メろ。」
カシャカシャ
『あ、甘味処発見!食べよう!!』
「ハイハイ。」
ガラガラガラ
「…すいませーん。」
「はーい!いらっしゃーい!」
『わぁ…ど、どうしよう!とりあえず餡蜜かなやっぱり!!そ、それとこのくずきりもいいなあ!あ、三色団子にみたらし団子!胡麻団子もー!』
「そんなに食えんのかよ。」
『食える。』
ドヤァ
「ドヤ顔で言うな。払うのはこっちなんだよ。」
『わーい!!』
さり気なく奢るよって言われた!やったね!
「うふふ、彼氏さんはどうなさいますか?」
…顔を見合わせる私達。
「…あー…彼氏さんは彼女さんのを半分貰いますから大丈夫です。」
『ぶっは(笑)』
「彼女さんがこれ以上太らない為にも…。」
『オイ。』
「今準備致しますので、あちらに座ってお待ちください。」
『…さて、秋君よ。』
「何だ、ゆき。」
『今年も間違われるカレカノ事件。』
「だな。…もはやそれに慣れてる俺達。」
『それな。』
「ま、似てないのはしゃーない。」
『しゃーない。しゃーないんだけどさ…。』
「何だ?」
『…そんなに恋人同士に見えんのかね、私ら。』
昔からの疑問。
「…まあ、外からは見えんじゃねーの?普通の兄妹なら腕組むとかハグするとか頻繁にデートとか車の送り迎えとかしねーもん。」
『普通…普通の定義とは一体。』
「世間サマから取り残されてる俺達には関係ねーよ。」
『…一般社会で生きてける気がしない。』
顔を覆う私たちであった。
「…俺はともかくとして、お前は無理だろーな。協調性の欠片もねーし。ルールは無視だし。」
『自覚はしてるよ?してるけどそんなんメンドくない?』
「ゆきの基準は基本面倒臭いか面倒臭くないか。」
『イェッス。』
さすが兄貴、分かってるぅ。
「ほい、これ食うか。」
『食う!!』
「あーん。」
スプーンにのせられた餡蜜。
パクッ
『んんんん美味…。』
「美味そうに食うよな、ホント。」
ハタ…。
ふと、気付く。
『「…これ…か…!!!」』
『何気に間接キス。』
「…確かに恋人っぽい…つか彼女にしたこと1回もねーわ、そーいや。」