アーティスティックな男の子。
『撮れた。』
カシャ
ん?
カメラのシャッター音がした。
振り返ると…
「やあ!ゆき。久しぶり♪」
『…あれ、幻覚が見える。』
「幻覚じゃないよー?」
『…理事長先生がなんでここに。』
「ふふ。」
理事長…私たちが通ってる学園の理事長。つまり最高権力者…。
『っちょっと秋ぃぃぃ!!!?』
「今彼は違う場所にいます♪」
『何、何かしたの?!』
「してないしてない。ただちょこっと、周囲にバレにくいおまじないかけただけだから。」
『何かしてるんじゃんそれ。』
「大丈夫大丈夫♪害は無いよ。」
じゃないと困りますぅ。
『…どこから嗅ぎつけたの。』
「風の噂…かな。」
『あっ、これ絶対教えてくれないやつだ。』
「察しのいい子だね。」
『…ハァ…。』
「久しぶりの再会に、君は喜んでくれないの?僕、凄い楽しみにしてたのに。」
『…確かに久しぶりだけどさぁ…まさかこんな方法で来るとは思わないじゃん?』
「ふっふっふ…僕に不可能なことは無いからね。」
いや有れよ。
「…最近忙しくてさ、中々会えなくてゴメンね。ゆき。」
手を広げて近づく理事長先生。
私は抵抗せず、素直にハグされる。
『別に気にしてないよ。忙しいのは昔から変わらないでしょ?』
「そうだねぇ。…ちょっと押し付けたい気持ちがね、あるんだよね。」
『…執事さん、可哀想。』
今現在、怒り狂ってると見た。
『…変わらないね、理事長先生。見た目も中身も。』
「ゆきは成長したね。見た目は。」
『中身はどうした、中身は。』
「中身は…うーん…。」
『待って悩まないで??』
「ふふ、嘘嘘。僕好みの良い子に育った。」
『理事長先生好みに育った覚えはないよ?』
「ふふふ。」
『…その意味深に微笑むの、相変わらず…。そして大体意味が無いことも知っている…。』
「ふふふ。」
『…そろそろ戻ろ、理事長先生。秋が心配して死にそうになってると見た。』
「相変わらずのシスコンだね。」
『そうだね。』
「ゆきも大概ブラコンだね。」
『認める。』