アーティスティックな男の子。
コンコンッ
『どー…ぞー…。』
「失礼します。…ゆきさん、生きてますか。」
『なんとか。…てか柊、凄い王子様っぽい格好だね。』
煌びやかに似合ってる。スタイル良いし、イケメンだし、身長高いし。
本物の王子様っぽい。
「そうですね、自分でも思います。…ゆきも珍しい格好をしていますね。」
『自分でもそう思うよ。』
何せ、今回はドレスだからね。
しかも真っ黒なマーメイドラインのドレス。
「少し打ち合わせをしたいのですが…いいですか?桜庭さん。」
「いいよ。あ、でもそろそろ…。」
コンコンッ
『はーい。』
「は、入っていいか?」
『いーよ。』
ガチャ
「…お疲れ様です。」
「おつかれー。」
「お疲れ様です。」
『お疲れ様ー。』
「悠。あとは髪と顔だけ。」
「…分かった。」
「結城さん、少し打ち合わせをしたいのですが、良いですか?」
「ああ、良いですよ。…ゆき、動くなよ。」
『ウィッス。』
「じゃあ始めましょうか。」
『うん。』
「10時からゲネプロが始まります。私たちは最後から二番目ですので…11時30分ぐらいからでしょうか。」
『そうだねぇ…。ゲネの持ち時間が少ないから立ち位置決めてさっさとやろうね。』
「そうですね。」
『それと、ちょっと伴奏変えたから気をつけてね。』
「…それ本番当日に言います?」
『大丈夫、柊ならイケる。』
「オイ、動くな。」
『さっせん!!』
「ハァ…まあいいです。」
『あ、LIVEみたいにするつもりだから、音響さんとも少し話し合わないと。』
「音源の確認ですか。」
『そうそう。一応全員呼んで打ち合わせね。』
「目、閉じて。」
『ウィッス。あ、ゲネの一時間前に舞台の上手側の練習室に集合って言っておいて。』
「分かりました。」
『…大丈夫、天才ゆきちゃんがいるからね!』
「…それは心強いですね。」
ふふ、と笑った。
『緊張せずに頑張ってね、柊。』
「はい。それでは私は戻ります。迎えに行きますからね。」
『はーい。またねー。』
「だから動かない、目を開けない。」
『さっせん!!!』