アーティスティックな男の子。
『よっこらしょ…っと。』
「…ホント、すいません。」
『大丈夫大丈夫。大したことないから。…で、これどこに持ってくの?』
「3A。」
『3Aの教室ってことは…総合アーティスト学科の人か。』
「そうっすね。」
『しかもこの本…美容系に興味があるのか。』
「まあ、そうです。」
『先生に持ってこいでも言われたのか。』
「丁度、日直だったんで。」
『…あれ、もう一人は?』
「休み。」
『Oh…。つか1年の総合アーティスト学科担当の先生って確か…サトセンかクマさん辺りだよね。』
「俺は熊谷先生の方。」
『あ、クマさんの方か。てことは君、相当優秀なの?』
「…まあまあ。」
『お、否定しない辺り、素質は持ってるよね。あ、着いた。』
あー、両手塞がってるな。だったら…。
『よっこらしょ…っ!』
バァァンッ
「ッ!?」
足で開けました。
「おー、ちゃんと持ってきt」
『おーい、クマさーん。』
「…ちょっと幻覚が見えるな。」
『幻覚じゃないよ、クマさん。あ、総合アーティスト学科、一年生の皆さんこんにちは。』
「葉山お前…授業どうした…。」
『いや、神から受けるなって暗示が来たもんだから。』
「さっさと帰れ、葉山。」
『何だよー、せーっかくクマさんのお使いしてきたのにー…ねえ?…えーと』
「悠木。」
『そう!』
「…ハイハイわかったから、葉山はさっさと授業行く。」
『はーい。あ、いきなり知らない先輩が着ちゃってゴメンね?…ところでこのゲームやってる人挙手ー。』
「葉山…??」
『ゴメンゴメン(笑)じゃ、頑張ってね、総合アーティスト学科の一年生諸君!あ、悠木君もばいばーい。』
「……。」
ガラガラガラ
『さて…っと。確かこの時間…ソルフェージュだったよね。…はー、メンドイ。』
結局一時間サボった、葉山ゆきです。
大丈夫、そのあとの二時間はちゃんと授業受けたから。
『ふんふふーん♪』
「…あ。」
『あ、さっきの子。…えーと、』
「悠木。」
『そうそう、悠木君ね。名前は?』
「悠。結城悠悠きはるか…アンタは。」
『私は葉山ゆき。よろしく、ハル君。』
「…ゆき、さっきからずっと言いたかったことがあんだけど。」