アーティスティックな男の子。
『…どーうー?!大丈夫だったー!?』
「「「OKでーす!!!」」」
『自分のパフォーマンスでいっぱいいっぱいだったけど、大丈夫なら本番もイケるな。』
家に帰ったら秋に見して貰わないと!!
『…だがしかし、ミスタッチが若干多かった。』
時間…まだあるかな。
『すいませーん、練習したいんですけど、あと何分ぐらいなら大丈夫ですかね?』
「は、はい!15分なら大丈夫です。」
『分かりましたー。』
よし、15分間はピアノに向き合おう。
『我が愛しのスタンウェイ…どうか君と私の曲が、人の心に響きますように…。』
「本番、1分前でーす!」
「1ベル鳴らしまーす!」
ぎりぎりまで舞台でピアノの練習をした。
うん、何とか大丈夫そう。
『…あ、桃李先輩だ。生徒会、お疲れ様です。』
「…ああ、お疲れ。」
『…先輩って絶対憑依型俳優だと思うんですよ。』
「…いきなりなんだ。」
『え、違うんですか?』
「…どうだろうな。」
『私も多分憑依型タイプなんですよ。』
「…多分?」
『はい。自覚してる訳じゃないんですけど、たまに意識無い時があるんですよねぇ。』
「…危ないな。」
『先輩も気をつけた方がいいですよ?』
「…そうだな。」
「本ベル鳴らしまーす!」
『そういえば、生徒会長の挨拶もあるんでしたっけ。どうりで制服。目立ちますねぇ。』
「俺と副会長…透だけだからな。」
『透先輩も忙しそうで何よりです。』
「まるで俺が働いてないみたいに言うな?」
『え、そうなんじゃないんですか!?』
「……。」
そうなんじゃん…。
「会長ー!」
『…出番のようですよ。』
「みたいだな。」
『頑張ってください。』
「…葉山もな。」
颯爽と舞台に歩いていった、桃李先輩。
ガチャ
「やあ☆」
バタンッ
『ナンカイル』
ガチャ
「酷いなあ、化け物でも見た表情だよ?それ。」
『何でまだいるの…!』
「暇だから…かなっ☆」
『やめろ今すぐ席に戻れ。てかもう始まってるよ!?』
「そうみたいだね。」
『理事長先生が会場にいなくて先生達慌ててるんじゃない?』
「ふふ、大丈夫だよ。諸事情により遅刻と伝えてあるからね。」
『遅刻どころか先生達より早く来てるじゃん!!』
「怒ってる姿も可愛いよ。」
『心の底からウザイ。』
「酷いなあ。じゃあ僕はもう行くよ。」
『はよ行け。』
「ふふ、またね、ゆき。」
バタンッ
『……ハァ…。』
いつ会っても相変わらずだな、あの人。