アーティスティックな男の子。






ガチャ


『こんにちはー。』


今日は“キミコイ”ドラマの打ち合わせ。


大勢のキャストとスタッフが入るため、会議室じゃなくて、都内某所のスタジオ。


秋は車で待ってもらってる。


なので今日はお一人なのだよ!!


緊張するねぇ!(してない)


にしても、うん、私割と最後の方だったのかなー?


ザワザワッ


「誰だ?あの高校生。」


「知らねぇけど、藤嶺の制服じゃん。」


「女優か?」


すごい見られてる。


すんごい見られてる。


見すぎだろ、お前ら。


そして女優ではありません。天才作曲家です。


「ゆきー!」


『ダッシュで来るんじゃない、恭介。犬か。』


「いやいや、いつ来るか不安で不安で。」


『何でよ。』


「だってよくすっぽかすじゃん。」


『そうだけどさ。それ学校内の話ね?確かに授業すっぽかしたりしてるけどさ?さすがに仕事で来てるんだからさ?ね?』


「つか何で制服?」


『午前中は学校に呼び出されてた。』


「…留年のお知らせ…?」


『違うわ。仕事の依頼だわ。』


「あー、納得。」


『で?私の席は?』


「ゆきちゃーん。」


『あ、安田さん。こんにちは。』


こちら、照明担当の安田さん。


「久しぶりだねぇ。元気にしてた?今何年生だっけ?」


『ピチピチの高校二年生ですね!』


「華の女子高生か〜!あんな可愛らしくてちっちゃかったゆきちゃんが…高校生…感慨深いねぇ…。」


『あはは。』


「錦監督も凄く楽しみにしてたよ〜。多分ビックリするんじゃないかな?私も凄いビックリしたし〜。」


『そうですか?あんまり変わってないと思いますけど…。』


「凄く可愛いよ〜。モデルさんや女優さんと並べちゃうよ〜。」


『あはは、ありがとうございます。』


「そういや、秋兄は?」


『車。』


「え!秋君もいるの?うわー、会いたーい。」


『ワンコールで多分来ますよ。後で呼びますね。』


「うんうん、よろしくねぇ。あ、ゆきちゃんはここの席ねぇ。」


『はい、ありがとうございます。』


「うわ、監督の隣じゃん。」


『え?そうなの?』


「錦監督さんのね、モチベーションアップの為だよ〜。」


『嬉しい限りですねぇ。…というか、安田さん。』


「何〜?」



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