アーティスティックな男の子。
「そして監督の錦知久ニシキトモヒサです。よろしくお願いします。」
パチパチパチ
あ、終わった。
……あれ、私は??
「そして今回、このドラマの主題歌を作曲してくれる葉山さんです。」
ザワ…。
あ、ここでなの。私最後なの。なんつーところで紹介されちゃったの私。
そしてザワついている。
『藤嶺芸術大学附属高等学校、葉山ゆきです。今回、ドラマの主題歌を作曲することになりました。よろしくお願いします。』
パチパチパチ
高校生が月9のドラマの主題歌を作曲…!?
有り得ねぇ。
みたいな顔をするんじゃない。
そして、錦さん。その相手を睨まないでください。迫力ありすぎて周りビビってます。
「葉山さんの曲はとても素晴らしいものばかりです。葉山さんに作曲していただくなんて、本当に嬉しい限りです。」
げ、何言ってんだこのオヤジ。
やめろやめろ、面倒くさくなる…!
『あ、あはは…。』
「葉山さんはたくさんの企業と契約してCM曲を作ったりしていて、例えば僕らのスポンサーでもある大川製薬とか的場ホールディングスとか後h」
『すみませんそれ言っちゃダメなやつです秘密なんですそれ』
「え、そうなの?」
『そうですだからもう止めて』
「あ、なんかゴメン。」
ザワザワ…。
うーーーん!!まあもうね!言ってしまったことはしょうがない!!
『と、とにかく、主題歌は出来るだけカッコよく、この作品に似合うように、魅力的な曲にして行きたいと思います。』
「…はい、じゃああとはスケジュールの確認していきます。」
「じゃあ解散ー。」
『……錦さん??』
「ごめんねー。はいみかん。」
『有難く頂きます。……あ、美味…。』
「にしても、本当に大きくなったな、ゆきちゃん。」
『最後に会ったのは、小学二年生ぐらいでしたよね。』
「あの頃も凄く可愛かった…。」
あの時60代だったよなー。
今はもう70代だもんなー。