アーティスティックな男の子。






「そっか…じゃあ生徒会室のピアノ使う?」


『…え?』


…生徒会室にピアノなんてあるの?なんで?


必要あるの??うん??


「2台ピアノあって、1台はもしかしたら他の子が使ってるかもしれないけど、大丈夫かな?」


2台も、あるの…??


『……えっ?あ、いえ、大丈夫です。』


「じゃあ案内するね。」


『…えっ…あ、はい。』


断ったつもりの“大丈夫です”だったんだけどなあ。


…まあピアノの練習が出来る場所ならいいか。もう(投げやり)。








ガチャ


「ここが生徒会室だよ。」


『へぇー。』


まあ普通の生徒会室ですね、ええ。


「別室にピアノがあるよ。」


恐らく生徒会長のデスクであろうモノの後ろの扉。


『…この位置、いかにもラスボスですよって言ってるようなもんじゃないですか。つまり、桃李先輩がラスボス…。良いですねぇ、撃退したいです。』


「…そうか。」


うん、反応薄い。


『ここがレッスン室(?)ですか?』


「そうだよ。普段は音楽科の子が弾いてるんだけどね。今日は居ないみたいだけど。」


『そうなんですねぇ。』


「ちょっと壁薄いけど、問題ないと思うよ。」


『薄いんですか。』


「うん。」


『…生徒会室に響き渡りますかね?』


「響き渡りはしないけど、それなりに聞こえるね。」


『…まあいっか。』


「僕らのことは気にしないで、思う存分弾いてね。」


「…楽しみにしてる。」


『…あ、はい。』


なんだろう、期待されてる?


いやいや、自意識過剰か。


『…言っときますけど、私あんまり上手くないですからね。』


「大丈夫だよ。」


「…ああ。」


…まあ、うん、ほっとこう。


ガチャ


『おー!普通のレッスン室だ。』


ちょっと物が置いてあるけど。


…これなんだろう。黒猫の人形?


あ、ヤマハのグランドピアノですねぇ。


〜♪


うん、いい音。


ちゃんと調弦してある。


見た目はちょっと古いけど、全然問題無し。


『よーし!!』


指慣らしからだな〜♪











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