1コインでサイダーを、
当てもなく走り続けて外に出てきて
息は乱れて髪もボサボサで
なんでこんな日に雨なんて降るのかと
神様は傷ついた私に
まだ追い討ちをかけるのかと
空を見上げて睨んだ
「こんな目じゃ、ちっとも怖くないか」
赤くて涙をいっぱいいっぱいに溜めて
私はその場にしゃがみ込む
「...窪川?そこで何してるの」
そっと背後から聴こえた声は
温かみのある声
「、西谷くん」
でも
私の好きな
声じゃない
「えっ、え?!泣いてる?どうかした?転んだ??」
泣いてると知った途端慌ててその場でドタバタしている彼に
私は思わず笑ってしまった
「......かわ、いい」
すると今度は
西谷くんが固まってしまうから
私もいつのまにか涙が引いていた
「ごめん、何でもないの。ありがとね」
少し立ち直ってそう言うと
西谷くんは何か言いたげに口をパクパクさせて
「あ、のさ」
「ん?」
「何かあったら、聞くよ!あ、俺で良ければ!」
必死なような
一生懸命なような彼が可笑しくて
なんだか
さっきまでの気持ちは和らいで
自然と笑顔になった
「うん、ありがとう西谷くん」
きっと西谷くんは
憐れな私にくれた
神様からのプレゼントだ。