1コインでサイダーを、
「じゃあ今日の授業は終わりだから、みんな寄り道せずに帰るんだぞー」
はーい、なんて返事をしてる最中
友達のゆきは
新しく近くにできたタピオカ屋さんのホームページを開いていた
「ねねね、ここ今日行かない??」
案の定、そのタピオカの画像をこちらに見せてきた
「ゆきは本当新しいもの好きだなぁ、」
「で?!行く?行かない??」
「うーん、、」
不意に斜め後ろから視線を感じた
...ん?気のせいかな
そう思いつつ振り返ると
「あ...今ちょっといい?」
優しく心地の良い低音が私の鼓膜を震わせた
「えっ.......!(佐藤、くん)」
「ごめん取り込み中だった?」
「あっいやいや全然全然」
私は全力で首をぶんぶん横に振り
彼ーーー佐藤くんはそれを見てフッと笑った
(笑ってくれた)
(私に笑いかけてくれ、た)
ニヤける口元を抑えて
佐藤くんの方へ身体を向ける
「...で、話って、?」
ゆきの前では躊躇なく出る声も今はやっとの思いで絞り出したもの
「あー、あのさ...お前平野と仲良いだろ?」
平野、とはゆきのことだ。
「え?う、ん」
「あの、ちょっと協力して欲しくて」
「.........っ」