1コインでサイダーを、
それからというもの
佐藤くんは度々私の席にやって来るようになった
「窪川ー英語の宿題やった?」
「窪川、昨日のドラマ最後ヤバかったよな」
「ちょっと消しゴム貸して」
他愛もない会話で
話しかけるのは必ず彼からで
嬉しかった
毎朝ついてる彼の寝癖も
彼が呼ぶ窪川って苗字も
私はどんどん好きになっていた
このまま私のことを好きになってくれたりしないだろうか
ゆきじゃなくて
私を
私のことだけを見てくれはしないだろうか
なんて
空に呟いてみたり。