死にたがりの灰田くん
入水自殺
ぱしゃん、と水の跳ねる音に、足を止めた。
今日は珍しくイヤホンをせずに登校していた所為か、その音はやけにクリアに耳に届いた。
冬真っ盛りの1月半ば、雪でも降るんじゃないかってくらいの曇り空の下。
橋の下を流れる川に何気なく視線を落とせば、制服のまま腰まで水に浸かる男の子が、そこにいた。
「…えっ」
同時に洩れた吐息の白さが、今日の寒さを物語っている。
みるみる濃い青に変わっていく、私と同じ学校の制服の、冬服の青色のシャツ。
それが胸まで変色したところで、ようやく事態の重さを認識した私は。
「待って!」
身を乗り出してそう叫んだ。
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