死にたがりの灰田くん
灰田くんの返事に、固まっていた身体は時の流れを取り戻し、そのコンマ1秒後には橋の向こう側目掛けて走り出していた。
河原へと延びる階段を使うのすら億劫で、河川敷の坂を滑り降りた私は、カバンも靴もブレザーも放り捨てて、
そのまま、川に駆け込んだ。
「え、ちょっ」
「なに?死ぬとこって」
目を大きく見開いた灰田くんを目掛けて、水の中をザブザブと歩く。
半分も進めば、想像以上の冷たさに縮み上がった心臓の音も気にならなくなっていた。
あと、5メートル。
「助けてくれようとしてるのはありがたいんだけどさ。君、パンツ見えてるけど」