孤独な神官はど田舎娘に愛を乞う
大神官は、その震える手に自分の手を重ねた。その手は驚くほど冷たかった。


思わず鈴英が顔をあげたが、大神官がどんな表情をしているかを知ることはできない。

「大丈夫だ。問題ない。」

「でも!!」


神官は、血の穢れを嫌う。月のものや出産の際にどうしても出血をともなう女性が神官になれない最大の理由だった。


「確かに、神官は血の穢れを嫌う。しかし、それを言ったら、そもそも神官は誰かと閨を共にすることも、子どもを設ける事もない。私は神官であって神官ではなのだ。気にすることはない。」

優しい声だった。それを聞いた鈴英は、目に熱いものが込み上げてきた。何度も何度もやろうとしたけど、どうしてもできなかった。どうしたらいいかわからなかった。

大神官に言って、どうにもならなかったら静玉に頼もうかと思ったほどだった。
思わずうつむくと、涙がこぼれた。


「ごめんなさい。」

「こちらそこ。何も知らず、辛い思いをさせたな。」



大神官の手を握り返したい。強くそう思ったがそれは許されないことだった。


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